有明海のすぐ横に、カフェのような佇まいのお店がある。江の浦海苔本舗だ。
江の浦海苔本舗は、元海苔漁師のご主人と、ご実家が海苔養殖の家業を営んでいる奥様で運営している海苔専門店。
「小さい頃から、祖父の海苔養殖の家業を手伝っていて、大人になってから一旦、薬品メーカーに就職したんですが、両親が年をとり、家業を継いでほしいといわれ海苔漁師になりました。その頃は、海苔の平均単価が底値だった時代で、このまま海苔漁師を続けるべきか、本当に悩みました」と語る店主の森田修二さん。
今から約15年前、コンビニのおにぎりが今ほど普及していない時代。海苔の価格は安く、海苔養殖だけでは生計をたてるのが厳しい時代だった。
「最近の海苔は味が落ちた」
上の写真は、左側(祖父) 右側(にんぷさん)。海苔を裏側から天日干ししている様子です。
森田さんのご実家は、祖父の時代から海苔養殖を営んでいたため、船も海苔加工の設備も老朽化し、どちらも修理しないと続けられない状態だった。しかし、船も設備も修理するとなると莫大な設備投資がかかる。海苔漁師を続けるべきか、それとも、海苔加工業だけに絞るべきか。森田さんが今後について悩み始めた頃、気になることを耳にするようになったそう。
「最近の海苔は味が落ちた」と。
にわかに信じられず、彼はスーパーなどで売っている市販の海苔を食べてた。すると、それは、彼ら漁師が普段食べている海苔とは別物だったという。
「ショックでした。海苔の風味がいかされず、質が落ちているのです。有明海は、日本一、海苔づくりに適した海です。俺たち漁師が毎日、あたり前のように食べている海苔こそが、有明海本来の海苔。けれど、当時は価格競争に押され、うまい海苔がどこかに消えていったんでしょう・・。俺たちが毎日食べるうまい海苔をみんなに届けたい!そう、決意しました」と森田さん。その後、森田さんは海苔漁師から海苔加工業へシフトし、4年前に江の浦海苔本舗を立ち上げた。
海苔は生き物。一番摘みにこだわり、焼きたてを届ける
海苔はすべて有明海産100%。一番摘みだけを使用し、海苔の摘み取り日にもとことんこだわって海苔を買い付ける。
「海苔は一番摘みが、なんといってもうまい! 一番摘みといっても、摘み取った日が大事です。海苔は入札で売買されるのですが、入札期間の序盤戦が勝負。日にちがたつと、徐々に2番摘み、3番摘みの海苔が出始めるので、摘み取り日にもこだわって海苔を買い付けています」。(森田さん)
森田さんのもうひとつのこだわりは、焼きたてを食べてもらうこと。祖父の代から受け継いだ遠赤外線効果のある機械で、温度調節に細心の注意を払いながら、海苔を丁寧に焼き上げる。
「海苔は生き物なので、焼きたてが一番うまかとです! 焼きたての海苔を少しでも早く食べてもらいたいので、賞味期限を短めに設定しています。」(森田さん)
通常、海苔の賞味期限は、約9か月から1年が一般的だが、江の浦海苔本舗の海苔の賞味期限は半年。これは、賞味期限を過ぎると品質が悪くなるわけではなく、焼きたてを食べてほしいという想いから、あえて6か月に設定している。「ホントは、賞味期限を3か月でつけたいんですけど、3か月だと短すぎるとバイヤーさんに怒られてしまって(苦笑)」と森田さんの奥様。
江の浦海苔本舗の海苔は、食べた瞬間、磯の風味が口いっぱいに広がり、食べたあとも海苔の香りの余韻が長く続く。他の海苔にはない、独特の旨さだ。一番摘みにこだわり、焼きたてを食べてもらいという強い想いが、有明海本来の海苔のおいしさを最大限に引き出している。
~DOCORE(どおこれ)に出店してみて~
「DOCORE(どおこれ)さんのオープン当時から出品させてもらってます。おかげさまで、博多で買えるお土産物として、好評をいただいています」
江の浦海苔本舗は、博多から車で約1時間半ぐらいかかるため、お客様から「博多近辺で買えるところはないですか」とのお問い合わせもあるとか。そんなときは「博多マルイ2階にあるDOCOREでお買い物できます」と対応できるので、DOCORE(どおこれ)の存在がとてもありがたいと話す森田さん。
DOCORE(どおこれ)での売れ筋ランキングは、佃煮(390円)、明太子ふりかけ(390円)、塩海苔(600円)がベスト3。なかでも、佃煮は、イラスト付きのオリジナル包装紙で包み、ハガキが入っていたらもう1個もらえる当たり券付き。「お客様の喜ぶ顔が見たくて。約80個に1枚ぐらいの割合で当たり券を入れてます」と森田さんの奥様。
今後は、元海苔漁師の目利きを生かし、有明海本来の海苔をおいしさを追求。森田さんご夫婦の挑戦はまだまだ続く。